5月
01
2007
CNET Japanに翻訳掲載されている Read/Write Web の記事は毎回興味深いです。今回はインターネット時代の経済において、Google がいかに優れたビジネスモデルを確立したかについて解説されています。
グーグル–それは究極の打ち出の小づち – CNET Japan
まず、経済学の基礎で教えられる「需要と供給の法則」は意識されていない前提があると指摘します。
しかし、この法則はしばしば見逃されがちだが非常に重要な仮定を前提としている。需要と供給には弾性があり、量は無限であるという前提があるのだ。現実世 界では、物理法則の制約があり、単純にその前提が当てはまるわけではない。しかし、インターネットでは地理的制約がないため、ルールは再び変わる。そこで この記事では、いくつかの違う種類の需要と供給のシナリオについて見ていく。われわれの答えは(結論が先で恐縮だが)Googleはインターネットの究極 の打ち出の小づちだということだ。では、その仕組みを見ていこう。
無限に成長できるビジネスモデルにおける需要供給関係は「(ほぼ)無限の需要」に対し「(ほぼ)無限の供給」 を提供できることです。既存のビジネスモデルにおいては、スターバックスが例として挙げられています。
Starbucksのような大企業は、店舗が1つであるという条件から自身を解放してさまざまな土地へ拡大していくことでこの問題を解決した。このことに より、大企業は規模の経済を活用することができるようになった。規模の経済とは1単位の追加生産をより低い費用で行えることを指し、典型的には技術やノウ ハウなどがあって実現可能となる。
インターネット時代のオンライン経済では地理的制約の問題がないため、これまでと全く異なる事業形態と事業規模を追求することが可能となるのです。インターネットには物理的制約に伴う摩擦がないため、Googleは「無限の需要」に対し「無限の供給」を提供しているといいます。
ウェブサイトはオンライン経済上の地理的制約です。オンライン経済における成功企業の一つであるAmazonは、ウェブサイトにユーザを集めなければならない点で、Googleのモデルに負けているといいます。
Googleはオンラインでのアクセス先のトップ3のひとつであるだけでなく、テキスト広告戦略を通じて、ウェブの布地に自らを織り込んだ。こうすること によって、Googleはインターネット上の地理の制約からさえ自由になり、どこにでもいる存在になったのである。企業や個人がGoogle広告を自分の サイトで公開するのを支援することによって、Googleは一度の急降下で無限の需要と供給の問題を解いてしまった。
さて、Googleのビジネスモデルはこの先もずっと勝ち続けられるのでしょうか。歴史を振り返ると、常に新しい企業の技術革新と新しいビジネスモデルが勝者の交代をもたらしてきました。いずれは、Googleを超える企業が現れるかもしれません。
4月
24
2007
ブラウザのサイドバーに様々なサービスを表示させる動きが活発になっているようです。確かに、ブラウザは長時間使うものだけに、ここに情報を表示してメインのウェブサイトにトラフィックを呼び込めば、非常に有効なマーケティングになります。
サイドバー症候群–ユーザー獲得をめぐるWeb 2.0企業の新動向 – CNET Japan
今月上旬(4月2日の週)、ウェブ上では新しい流行の兆しが見られた。わたしはこれを「サイドバー症候群」と名付けた。この流行の影響について分析する前に、まず最終的にこのサイドバー時代の旗手になり得るサービスについて見ていくことにしよう。
この記事で紹介されているのは次のサービスで、どれもFireFoxブラウザのアドオンとして提供されています。
- Google Talk: Googleのインスタントメッセージング(IM)サービス。Gmail画面に表示されていたが、ブラウザのサイドバーからもアクセスできるようになった。
- Project Coop:FireFoxブラウザを開発しているMozilla財団のソーシャルネットワーキングサービス。いちいちウェブサイトを開かなくても新着情報が確認できる
- deli.cio.us: 有名なソーシャルブックマークサービス。共有されているブックマークをサイドバーに表示できる
さて、とても便利に見えるサイドバー・アプリケーションですが、問題点もあります。
しかし皮肉なことが1つある。ユーザーはサイドバーを1つしか持てないのだ。1人のユーザーはサイドバーにIMクライアントを入れるかソーシャルネットワークを入れるかのどちらかで、両方を使うことはできない。
というわけで、ブラウザにはサイドバーが一つしかないんですよね。Netscape ブラウザは複数のサイドバーを折りたたんで表示できる機能がありますが、FireFoxやインターネットエクスプローラ(IE6)にはありません。ひょっとしてIE7にはあるのかな? 使っている方、教えてください。
サイドバーをめぐる激しい競争に勝ち、自社のアプリケーションをユーザのサイドバーに表示させるのはなかなか難しそうです。
4月
20
2007
まだ正式な日本語版サービスを提供していないセカンドライフ (Second Life) は、世界で500万人以上の会員を抱えている有力なインターネットサービスです。あなたはセカンドライフの3D仮想世界の中でもう一つの人生を生きることができます。人気沸騰の矢先、セカンドライフ・サーバのプログラムが公開されることが発表されました。
ZDNet Japan Blog – ZDNet.com オープンソースブログ:オープンソースは「Second Life」を救えるか
「Second Life」と、インターネットおよびオープンソース、さらにわたしとの間には、多くの共通点がある。どれも活気に満ちていて人気も高いが、金欠だ。昔からビジネスが直面してきた問題を抱えているのである。
セカンドライフのオープンソース化についてのより詳しい解説はこちらにあります。
InformationWeek Weblog: Linden Lab To Open-Source Second Life Servers
ソースコードが公開されると、現在は世界に一つしかないセカンドライフのサーバが多数設置されるようになります。現在、セカンドライフは仮想世界に存在する「土地」を分譲することで収入を得ていますが、セカンドライフ・サーバが増えれば本家も他のサーバとの競争にさらされるようになり、この面での収入は落ち込むことになるでしょう。
先日、朝のテレビ番組でセカンドライフのことを特集していましたが、 東京のウェブ制作会社がセカンドライフの土地を1,000万円で購入したと言っていました。この会社はその土地をさらに小分けにして賃貸することで利益を上げることを計画しています。予定通りに状況が変わったとき、この会社がどのようにして利益を上げ続けることができるか、大きな疑問に感じます。
さて、多くのセカンドライフサーバが林立するようになったとき、セカンドライフの世界がどのように変わるかWagner氏が述べています。
セカンドライフは、ウェブのようになるだろう。無数のサーバが共通の操作方法、通信手順、クライアント・ソフトウェアで接続されるわけだ。一箇所のセカンドライフ・サーバにトラフィックが集中しても、他の場所には影響を与えない。あるウェブサイトにユーザが集中しても他への影響がないのと同じだ(筆者訳)。
あなたもウェブサイトを運営するように、セカンドライフを運営してみますか?
4月
17
2007
1985年前後、大学院生の頃、シリコンバレーやテクノポリス構想など、ハイテク型地域開発論を研究していた時期がありました。当時、イギリスでは、ウェールズやスコットランドにハイテク産業複合体が形成されつつありましたが、隣国アイルランドでは目に見える動きがなかったと記憶しています。
それが、今では有名な多国籍ハイテク企業がのきなみヨーロッパ本社をアイルランドに置いているといいます。紹介する記事は、そうしたアイルランドで開発・公開されつつある様々なウェブアプリケーションについて書いています。
欧州のコンピュータ産業拠点アイルランドのウェブアプリケーション – CNET Japan
現在では、GoogleとMicrosoft、Intel、Dell、IBMはみなさまざまなヨーロッパ本社をアイルランドに置いている。南北あわせて500万以上の人口を抱えるアイルランドは、ある意味では世界最大のソフトウェア輸出国であると見なされている。
早速、紹介されているウェブアプリケーションをリストアップしてみましょう。
- Pigsback.com アカウントを登録すると、ユーザーはPigsbackの広告主ネットワークから対象者を限定した商品提案やキャンペーン情報、調査への回答依頼などを受け取る
- StatCounter 膨大な量の世界中のウェブサイトウェブトラッキングサービスを提供している
- HostelWorld 旅行者やバックパッカーから、世界中の5万以上ものホステル施設の宿泊予約を受け付けている
- AllFreeCalls アメリカやアイルランド、イギリスから市内通話料金で国際電話をかけるサービスを提供
- nooked RSSマーケティングビジ ネス企業。「Feedshop」というコードネームを持つ製品を準備中で nookedのブログやウィジェットパートナーなどのネットワークを通じて広告を行う
- Pixenate 無料のオンライン写真エディタサービスで、Ajaxベースでなめらかに動作する
- PutPlace.com すべての自分のファイルに「電子指紋」を付与し、ユーザーがそれらを管理し、発見するのを助ける
- LouderVoice.com 多くのブログに分散している専門家を集めて、品質の格付けが行われたレビューを提供する
- PollDaddy.com 無料でアンケートを作成してそれを自分のウェブサイトやブログ、mySpaceなどにウィジェットとして配置できる
- zinadoo.com オンラインのAdobe Flashを用いたエディタを使い、無料でモバイル端末用サイトを作ることができるサービス
- MySay.com 電話を使ったソーシャルネットワークアプリケーションで、ユーザーの友人たちが接続すると、 互いの近況やジョークなどを電話やウェブ、mySay用デスクトップウィジェットで交換し、連絡を保つことができる
というわけで、多彩で非常に興味深いと思います。日本でも面白いウェブアプリケーションがたくさんあると思うのですが、言葉の壁のためになかなか国際的に普及するものは少ないようです。和製ウェブアプリケーションの国際化、結構面白いかもしれません。
4月
13
2007
「著作権保護期間の延長問題を考えるフォーラム」の第2回公開トークが開催されたそうです。著作権保護期間を死後50年から70年に延長することは、著者本人ではなく遺族の利益を守るもので、知の共有化を妨げ、過去作品のデジタル化を進めている図書館の活動にも大きな悪影響を与えることになります。
著作権保護期間を延長することの弊害とは – CNET Japan
著作権保護期間を死後50年から70年に延長する動きを踏まえて設立された「著作権保護期間の延長問題を考えるフォーラム」の第2回公開トークが4月12 日、都内で開催された。今回のテーマは「『知の創造と共有』から見た著作権保護期間延長問題」。期間延長に慎重な姿勢を見せるフォーラム発起人がパネリス トを務め、それぞれの立場から著作権に関する課題について議論した。
昨今、音楽産業や映画業界など、著作権の権利保持者の側からの主張ばかりが大きく聞こえてくるため、知が人類の共有財産であることを思い出す機会がきわめて少なくなっているように感じます。
そのような中で、このようなフォーラムが開催され、議論の喚起を促したことは有意義に思います。
著作権についての解説はWikipediaを参照。
4月
11
2007
Google のウェブメールサービスである Gmail のモバイル版が日本でも正式にサービス開始となりましたね。そこで、携帯電話でパソコンのメールをチェックする方法がいくつか紹介したいと思います。
Gmailが3キャリアのケータイに対応 - @IT
グーグルは4月10日、NTTドコモ、au、ソフトバンクの携帯電話端末から同社のWebメールサービス「Gmail」にアクセスできる「モバイルGmail」(http://gmail.com/)の正式サービスを開始した。
ケータイでPCメールを読み書きするのには次のような方法があります。
- PCメールをGmail に転送し、Gmailモバイル版でアクセスする
- PCメールをHotmailに転送し、Windows Live Messenger モバイル版でアクセスする
- 自分のウェブサイトにモバイル用CGIをインストールしてアカウントに直接アクセスする
1のGmailモバイル版は、これまでGmailを使ってきた人には一番簡単な方法です。アクセスするURLもhttp://gmail.com/ と短く、ケータイで入力するのに便利になっています。昨年からAU向けに試験提供されてきましたが、 二回目以降にアクセスしたときに文字化けが起こる障害があったので使っていませんでした。今回は、文字化けの心配はなさそうです。
2のWindows Live Messenger モバイル版は、Hotmailユーザにはなじみやすいでしょう。キャリアはドコモとAUの2社に対応しています。携帯電話用のアプリケーションとして提供されている Windows Live Messenger を利用すると、チャットだけでなくHotmailにもアクセスできるというわけです。アプリは各キャリアの公式サービスで提供されています。
3番目は、ウェブサイトにCGIを設置するという一番ハードルの高い方法ですが、一旦インストールと設定がすめば快適に利用できます。PCメールを読み書きできるウェブメールCGIでぼくが使っているのは次のものです。
何年も前から利用していますが、稼働実績があり、動作が安定しているのでおすすめです。
さて、1~3のどれを選ぶかは、判断の分かれるところです。どれも無料で利用できるので試してから判断するのも手ですね。ぼくとしては文字化けが解消されたのであれば1のGmailモバイル版がレスポンスも早く、画面がシンプルなので最も快適に利用できると思います。
4月
09
2007
音楽ソフトのDRMフリー化について、音楽ジャーナリストの津田大介さんによる非常に優れた分析と解説が発表されましたので、紹介します。
ITmedia アンカーデスク:「EMIは打つ手がなかった」――DRMフリー化と「CCCD」という無駄 そして日本は (1/5)
長文の論説記事ですのでぼくなりに要約してみます。
「CDの売り上げ低迷の原因をユーザの違法コピーによるものと断定し、音楽業界がコピーコントロールCD(CCCD)という中途半端なDRMを導入したことにより、CDの正規購入ユーザにまで不利益を与えることになりユーザのCD離れを加速した。消費者が不信感を募らせた決定的な事件は、SONY BMGによる root kit インストール問題だった。SONY BMGは、CCCDにコンピュータウィルスと同様のプログラムを仕込み、ユーザが不正コピーできないことを確実にしようとしたわけだが、多数の訴訟を起こされ数十億円の賠償を払う結果となった。
こうした流れの中で、音楽ソフトにDRMをかけないことがユーザの利益につながり、音楽ソフト売り上げ増大につながるとの認識が音楽業界に浸透し始めた。これが今回のEMIとAppleによるDRMフリー音楽ソフト提供となって現れ、世界的な趨勢となっている。
しかし、日本では「着うたフル」が好調であること、音楽業界の中にDRMフリー化に強硬に反対する人々が多いことが、日本のDRMフリー化を遅らせるであろう」
こうして、日本の消費者はDRMフリー化に取り残され、不利益を被るわけです。著者も指摘していますが、AppleのiPhoneが上陸してきたら、日本の音楽業界はどうするんでしょう? パソコンの音楽ライブラリーから楽曲を転送して楽しめるケータイを増やしておかないとまずいですよね。
記事の見出しを拾い出してみましたので、読まれるときの参考にしてください。
- DRMは音楽業界も「良くない」と思っていた
- CDはなぜ売れなくなったのか
- “無限デジタルコピー”可能なCDの受難
- CCCD、消費者と“決裂”
- CCCD以外の選択肢もあったはずだが……
- CCCDめぐるレコード各社の動き
- ジョブズの「DRM撤廃宣言」
- レコード会社は「空気」から「敵」に
- CCCDがユーザー離れ起こした
- ユーザーを標的にするという“暴挙”
- EMIにDRM断念迫った、2つの“予想外”
- VistaがDRM撤廃のきっかけに?
- EMIは変わった
- 米国レコード各社は追随へ
- 国内のDRMフリー化は難しい
4月
06
2007
ITエンジニアの間にもけっこうたくさんの都市伝説があるものですね。マシンにお札を張ると壊れないとか、○○の影響でエンジニアの子どもは女の子が多いとか、コンピュータや装置にも意思があるとか。面白いです。
「あるある」「ねーよ!」、エンジニア都市伝説 - @IT自分戦略研究所
その1 マシンにお札を張ると壊れない
サーバ、PC、製造機械……。エンジニアの周りには機械製品がいっぱい。何をどうやってもうまく稼働しない、直らない、いうことを聞かないときの、最後の手段は神頼み! アンケートの回答を見る限り、お札の効力は万能のようで、機械の種類や障害の内容を問わず、どんなトラブルにも対応している。
身につまされたのは、「サーバは休日に限って止まる」 というもの。以前、小さな組織でサーバ管理をしていましたが、要員は自分一人しかいないため、トラブルが起きると夜中だろうと土日だろうと対応しなければなりませんでした。
ある休日、家族で田舎の知人宅を訪問していたときのこと、お客様のウェブサイトを多数収容しているサーバがダウンしたとケータイに連絡がありました。インターネットもパソコンもなく、根本的な対処はできません。電話してきたスタッフに、サーバ管理会社にサーバを再起動するよう連絡を入れてもらい、その場をしのぎました。
その仕事をしている期間は旅行に行く間も心が安まらず、「心配」がどこかにこびりついていました。
サーバにお札を貼ることでトラブルが防げるのなら神頼みをしてみたい気もします。 もっとも、クリスチャンと結婚して以来日本の神様を拝まなくなったので「何を今更」とすねられてしまうかもしれませんね。
4月
03
2007
デジタル権利管理なし(DRMフリー)の音楽ダウンロードサービスが iTunes で始まるようです。 これならダウンロード購入もOKかな、と思います。
ITmedia News:EMI、全楽曲を「DRMなし」に――iTunes Storeで販売
EMI Musicは4月2日、自社の全楽曲を従来よりも高音質、かつデジタル権利管理(DRM)なしで提供する新しい小売業者向けプレミアムダウンロードを立ち上げると発表した。
この日からEMIはオンライン音楽小売業者に、DRMなしのオーディオフォーマットで各楽曲およびアルバムを、業者の選んだビットレート(最高でCDクオリティ)で提供する。
ぼくはこれまで、音楽をダウンロード購入したことがありません。DRMが組み込まれた音楽ファイルは特定の音楽プレーヤーでしか再生できなかったり、プレーヤーにコピーできる回数が制限されていて、使いにくいことこの上ないからです。たとえば、iTunes Music Store で提供されているAACフォーマットというファイル形式はiPodだけで再生できます。DRMがかかっているので他のファイルフォーマットに変換することもできません。
ぼくはこれまでCDをiTunesでリッピングし、128kbpsのMP3ファイルフォーマットで保存し、iPodに転送して音楽を携帯して楽しんできました。また、昨年からは、WillcomのW-Zero3というPHS電話機+PDAにも、PCのソフトウェア(ZランダムMP3)でランダムに選んだ 楽曲を転送して、iPod Shufleみたいな聴き方をしています。このような楽しみ方をしていると、DRMのかかったファイルは敬遠せざるを得ないのです。
そうした意味で、今回のAppleの呼びかけとEMIの決断を歓迎します。DRMなしで提供される楽曲ならダウンロード購入してもいいかな、という気になりました。
4月
02
2007
マイクロソフトがOS(基本ソフト)の違法コピーを防ぐ努力を強化すればするほど、そもそもOSとは商用ソフトとして販売されるべきものか否かという古くからの疑問を思い起こさせます。
Vista違法コピーを防ぐ–対策強化を進めるマイクロソフト – ZDNet Japan
Vistaでは、小売販売版のユニークなパッケージ(一カ所角が丸くなったプラスチック製の箱)もある程度偽造阻止を念頭に置いてデザインされている。だ が、このパッケージングはほんの手始めに過ぎず、Microsoftの著作権侵害対策は同ソフトウェア本体に内蔵されていて、コードをコピーしてプロダク トキーを入手するだけでは不十分になっている。
マイクロソフト社がソフトウェアの違法コピーを防止して、本来入るべき収入を守ろうとすることは、一般的な意味では理解できます。しかしながら、それをしているのがパソコンのOS供給を実質的に独占している企業となると、素直に受け取れなくなります。
1989年頃、日本がフリーのOSであるBTRONを搭載したパソコンを小学校に導入しようと していました。このときマイクロソフト社は、アメリカ政府に働きかけ、これは日本の非関税障壁リストの候補に挙げさせたのでした。この結果、日本ではBTRON搭載PCが日の目をみる機会が奪われてしまいました。
まともなGUIをもったWindowsの最初のバージョンである 3.1 をマイクロソフトが日本で発売したのが1991年1月のことですから、1989年当時にMacintoshと同等以上のGUIとファイルシステムを備えていたBTRONは脅威だったのでしょう。そして、同社にとってもっと問題だったのは、BTRONが無料で提供されるソフトウェアだったことです。
TRONプロジェクトは、パソコンという広く家庭で使われる製品の基盤となるソフトウェアは、一企業だけに利益をもたらすのではなく、社会の共有財産であるべきだという考えを広く知らしめた点で先駆的な役割を果たしました。もし、BTRONが当時社会に出ていたら、大きな反響をよび、WindowsだけがOS市場を独占するという構造が崩れていたかもしれないと思うと残念でなりません。